サッカーの試合を見ていると、「クロスを上げる」「クロスに合わせる」といった言葉をよく耳にします。
「サッカーのクロスとは何?」
「クロスの蹴り方やコツは?」
「どこに合わせればいい?」
「どんな練習をすれば上手くなる?」
「センタリングとは違う?」
と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
サッカーのクロスとは、簡単にいうとサイドからゴール前へ送るパスです。
ウイングやサイドバックなど、サイドのポジションの選手がコートの横からボールを送り、ゴール前へ走り込んだフォワードなどがシュートやヘディングにつなげる大事なパスです。サッカーの試合でも必ずクロスは登場します。
ただし、一言でクロスといっても、
- 高いクロス
- 低く速いクロス
- ニアへのクロス
- ファーへのクロス
- アーリークロス
など、さまざまな種類があります。
この記事では、サッカーのクロスの意味から、蹴り方・コツ・合わせ方・種類・練習方法、センタリングとの違いまでわかりやすく解説します。
サッカーのクロスとは?
クロスとは、ピッチのサイドからゴール前へ送るパスのことです。サッカーの試合中に何度もクロスは上がります。
主に、
など、サイドのポジションでプレーする選手が蹴る機会の多いプレーです。
例えば右サイドを突破した選手が、中央へ走り込んできたFWに向けてボールを送ります。
そのボールにFWが、
などで合わせれば、ゴールチャンスになります。
サッカーの「クロス」の意味
英語の「cross」には、「横切る」「交差する」といった意味があります。
サッカーでは、サイドから中央へ横切るようにボールを送ることから「クロス」と呼ばれています。
「クロスボール」と呼ばれることもあります。
日本では以前から「センタリング」という言葉もよく使われてきましたが、現在は「クロス」という呼び方が一般的です。
サッカーのクロスは英語で何という?
英語でも基本的に、
cross
と表現します。
例えば、
- cross the ball
- send in a cross
- deliver a cross
などの表現があります。
「クロスを上げる」を日本語ではよく「上げる」といいますが、クロスは必ずしも浮いたボールとは限りません。
地面を転がすグラウンダーのクロスもあります。
そのため、クロス=高いボールと考える必要はありません。
クロスとセンタリングの違い
「クロス」と「センタリング」はどう違うのか迷う方も多いでしょう。
結論からいうと、同じ意味です。
どちらも、サイドからゴール前へボールを送るプレーです。
ただし、センタリングが昔から使われていた言葉として残っており、強いていえばニュアンスとして、
- センタリング:中央へボールを入れるイメージ(真横に入れるイメージ)
- クロス:サイドからゴール前へ送るプレー全般(マイナスやアーリークロスのイメージ)
と考えると分かりやすいでしょう。
ただし、繰り返しますがそもそも同じ意味なのと、センタリングは和製英語なので、基本的にはクロスを使ったほうがいいと思います。※解釈や認識が違う場合があるのでご注意ください。
クロスはどこから蹴る?
クロスはサイドから蹴るのが基本ですが、蹴る位置は毎回同じではありません。
代表的なのは、
- ゴールライン近く
- ペナルティーエリア横
- ペナルティーエリアより手前
- ハーフスペース付近
などです。
ゴールライン近くまで突破してから上げることもあれば、相手守備が整う前に早めに入れることもあります。
重要なのは、**「どこから蹴るか」よりも「味方と相手の位置を見て、どこへ送るか」**です。
サッカーのクロスの種類
クロスにはいくつかの種類があります。
- ニアへのクロス:ゴールに近いところへクロス
- ファーへのクロスゴールから遠いところへクロス
- マイナスのクロス:クロスを蹴る位置から斜め後ろ側へのクロス
- アーリークロス:ゴールラインから遠い位置(自陣に近いところ)から、早めにクロス。
状況に応じて使い分けることで、攻撃の選択肢が増えます。一般的には、「クロスをマイナスにあげる」「アーリークロス」とは言いますが、ニアクロス、ファークロスとは言わないイメージです。要求する時に「ニア!」とか「ファー!」とか「マイナス!」とか言います。
ニアへのクロス
ニアとは、ボールがある位置から見て近い側のゴール前です。
例えば右サイドからクロスを上げるなら、右側のゴールポスト付近がニアになります。
ニアへのクロスは、
- 低く速いボール
- DFとGKの間
- FWが先に触れる位置
を狙うことが多いです。
FWが相手DFより一歩先に入れれば、そのままワンタッチでシュートにつなげられます。
ファーへのクロス
ファーとは、ボールがある位置から見て遠い側です。
右サイドからクロスを蹴る場合なら、左側のゴールポスト付近がファーです。
ファーへのクロスは、
- 反対側のウイング
- FW
- 攻撃参加したMF
などが狙うことがあります。
相手DFの視線がボール側へ集中すると、ファー側の選手がフリーになる場合があります。
高いクロス
ボールを浮かせてゴール前へ送るクロスです。
ヘディングの強いFWがいる場合や、相手DFの頭を越したいときに使います。
ただし、ただ高く蹴ればよいわけではありません。
山なりすぎるとGKがキャッチしやすくなります。
低く速いクロス
地面すれすれ、または腰より低い高さで速いボールを送ります。
DFとGKの間へ鋭いボールを入れることで、
- FWのワンタッチシュート
- DFのオウンゴール
- こぼれ球
などにつながることがあります。
グラウンダーのクロス
地面を転がすクロスです。特にゴールライン近くまで進んだときに有効です。浮き球よりもシュートにつなげやすく、ワンタッチで合わせやすいことがあります。
ただし、相手DFにカットされないよう、速さとコースが重要です。
アーリークロス
アーリークロスとは、ゴールライン付近まで進む前に、早いタイミングでゴール前へ送るクロスです。
サイドを駆け上がった選手が深く切り込む前に入れるクロスともいえます。
相手DFラインが整う前に入れることで、FWがDFの背後へ走り込める場合があります。
特にカウンター攻撃で有効です。
一方、通常のクロスより距離が長くなりやすいため、正確なキックが必要です。
関連記事:アーリークロスとは?意味・狙い・普通のクロスとの違いをわかりやすく解説
マイナスのクロス
クロスの種類には「マイナスのクロス」もあります。
ゴールライン付近まで進み、斜め後ろ方向へ戻すように出すボールです。
ただし、「サッカー クロス マイナス」は別の検索意図も強いため、FFnetでは別記事で詳しく解説する方針がおすすめです。
マイナスのクロスの意味や出し方・合わせ方については、別記事で詳しく紹介します。
サッカーのクロスの蹴り方
クロスには複数の蹴り方がありますが、一番よく使うのはインフロント、次にインサイドやインステップかと思います。
インフロントでクロスを蹴る
インフロントは、足の親指付近から甲の内側で蹴る方法です。クロスといったら、ほとんどインフロントキックではないかと思います。カーブをかけると、味方も合わせやすくなります。
- ファーサイド
- DFとGKの間
- アーリークロス
などで使われます。ボールの中心から少し外側をこするように蹴ることで、回転をかけられます。
関連記事:インフロントキックの蹴り方は?当てる場所・コツ・練習方法をわかりやすく解説
インサイドでクロスを蹴る
インサイドは、足の内側でボールを蹴る方法です。
比較的コントロールしやすいため、
- グラウンダー
- 低いクロス
- 短い距離のクロス
などに使いやすいです。
足首を固定して、味方の走るコースへ正確に送ることを意識します。
関連記事:インサイドキックとは?蹴り方・コツ・当てる場所や練習方法を解説
インステップでクロスを蹴る
インステップを使うと、強く速いボールを蹴りやすくなります。特に低く速いクロスを入れたり、ゴールに向かうようなシュートとも見えるクロスを蹴る場合にはインステップで蹴ります。
ただしスピードやパワーが出やすい分、コントロールも難しく味方も合わせるのが難しいため、使うときには注意が必要です。
サッカーのクロスを上手く蹴るコツ
クロスは「強く蹴る技術」だけではありません。
特に重要なのは次のポイントです。
蹴る前にゴール前を見る
最も重要なのが、味方の位置を見ることです。
ボールだけを見てクロスを蹴ると、
- 誰もいない
- GKの正面
- 相手DFのところ
に送ってしまうことがあります。
クロスを蹴る前に一度顔を上げ、
- 味方FWはどこか
- DFはどこか
- GKは前に出ているか
- ニアとファーのどちらが空いているか
を確認しましょう。
自分が蹴りやすい場所にボールを置く
ドリブルからクロスを上げる場合、最後のタッチが重要です。
Alpenも、プレッシャーを受けながら正確に蹴るためには、ボールを自分が蹴りやすい位置へ置くことが重要と説明しています。
ボールが足元に入りすぎると、腰をひねれず正確に蹴りにくくなります。
「人」ではなく「場所」を狙う
クロスでは、現在味方がいる場所へ蹴るだけでは遅れることがあります。
味方も走っているためです。
そのため、
味方が次に到達する場所へ送る
ことを意識します。
例えばFWがニアへ走っているなら、その選手の足元ではなく、一歩先へボールを送ります。
強さと高さを変える
クロスは毎回同じ高さ・速さではいけません。
相手DFやGKの位置によって、
- 低く速く
- 少し浮かせる
- ファーへ高く
- DFとGKの間へ鋭く
などを使い分けます。
利き足だけに頼らない
サイドでは、逆足でクロスを蹴らなければならない場面もあります。
左右どちらの足でも蹴れるよう練習するとクロスの選択肢が広がります。
最初から利き足と同じ精度を求める必要はありません。まずは逆足でグラウンダーのパスでもよいので、正確に出せるようにしましょう。
クロスはどこを狙えばいい?
代表的な狙いどころは、
- ニア
- ゴール中央
- ファー
- DFとGKの間
です。
状況によって最適な場所が変わります。
例えばGKがゴールライン上に残っているなら、DFとGKの間へ速いボールを入れる方法があります。
逆にGKが前へ出ているなら、ファー側へ高いクロスを送る選択肢もあります。
重要なのは、適当にペナルティーエリアへ蹴らないことです。
サッカーのクロスの合わせ方
クロスは、蹴る選手だけ上手くても成立しません。
ゴール前で合わせる側の動きも重要です。
クロスを蹴る選手とタイミングを合わせる
一番重要なのがタイミングです。
早くゴール前へ入りすぎると、止まった状態でクロスを待つことになります。
遅すぎるとボールに届きません。
味方がクロスを蹴れそうになった瞬間に、
助走をつけてゴール前へ入る
ことを意識しましょう。
DFの前に入る
クロスに合わせるとき、相手DFの後ろにいると先にクリアされます。
ニアへ走り込むなど、DFより先にボールへ触れる位置を取りましょう。
DFの視界から消える
ずっと相手DFの目の前にいると、マークされやすくなります。
一度DFの背後へ入り、クロスが上がる瞬間に前へ出る動きも有効です。
特にファーサイドでは相手DFがボールを見ている間に、背後から入ることでフリーになれることがあります。
ニア・中央・ファーへ分かれる
味方が複数人ゴール前へ入る場合、全員が同じ場所へ走るのは効率的ではありません。
例えば、
1人目:ニア
2人目:中央
3人目:ファー
のように分かれて入ることで、クロスを送れる場所が増えます。
JFAのトレーニング資料でも、クロスへの対応でニア・中央・ファーを意識したポジショニングが扱われています。
クロスに合わせるシュートの種類
クロスにはさまざまな方法で合わせます。相手ディフェンダーやキーパーの対応が難しくなるので、ダイレクトで合わせることがまず目指すべきクロスに合わせるシュートです。
ヘディング
高いクロスに対して代表的なのがヘディングです。
ボールが来るのを待つのではなく、助走をつけてボールへ入っていきます。
ボレーシュート
浮いているボールを地面へ落ちる前に蹴ります。
難易度は高いですが、クロスから直接ゴールを狙える技術です。
クロスを上げるタイミング
クロスでは「どこへ蹴るか」だけでなく「いつ蹴るか」も重要です。
味方FWが動き出していない状態で蹴ると、相手DFの方が先に対応できます。
反対に、FWが走り終わってから蹴っても遅れます。
理想は、
味方FWが動き始める
↓
クロスを蹴る
↓
走りながらボールへ合わせる
という流れです。
出し手と受け手のタイミングを合わせることが重要です。
クロスを蹴るときにありがちな失敗
とりあえずゴール前へ蹴る
味方を確認せず、とりあえずペナルティーエリアへ入れても得点につながりにくくなります。
一度顔を上げて味方と相手の位置を確認しましょう。
毎回高いボールを蹴る
クロス=浮き球ではありません。
相手DFが高いなら、低く速いクロスの方が有効な場合があります。
ゴールキーパーへ向かって蹴る
山なりのボールをGKの正面へ送ると簡単にキャッチされます。
GKとDFの間や、GKから遠い場所を狙いましょう。
クロスを蹴ることが目的になる
サイドまで進んだからといって、必ずクロスを上げる必要はありません。
味方がゴール前にいなければ、
- 後ろへ戻す
- パスをつなぐ
- ドリブルでさらに進む
という判断もできます。
クロスはゴールを作るための手段です。
サッカーのクロス練習メニュー
クロスは、止まったボールを蹴るだけでは上達しにくい技術です。
試合に近い形で練習しましょう。
練習1|止まったボールから狙った場所へ蹴る
まずは基本です。
サイドにボールを置き、
- ニア
- 中央
- ファー
に目印を置いてクロスを蹴ります。
最初は相手を入れず、正確に蹴ることを優先します。
練習2|ドリブルからクロスを上げる
次に、サイドを数メートルドリブルしてからクロスを上げます。
試合では止まった状態より、走りながら蹴ることの方が多いためです。
最後のタッチでボールを蹴りやすい位置へ置くことを意識しましょう。
練習3|クロス+シュート
2人以上で行います。
サイドの選手がクロスを上げ、中央の選手がシュートします。
例えば、
クロス役 → ニアへ入れる
FW → ニアへ走り込みシュート
から始めます。
慣れたらニア・中央・ファーを使い分けます。
練習4|パス交換からクロス
試合に近づけるため、クロスを蹴る前にパス交換を入れます。
例えば、
MF → SB → MF → SB
↓
SBがクロス
↓
FWがシュート
という形です。
練習5|2対1からクロス
攻撃側2人、守備側1人でサイドを攻めます。
クロスを上げるだけでなく、
- ドリブル突破
- オーバーラップ
- パス交換
の中からクロスを選びます。
「クロスを蹴る練習」から、**「いつクロスを選ぶかを判断する練習」**へ発展させられます。
クロスが重要になるポジション
クロスを蹴る機会が多いのは、
- サイドバック
- ウイングバック
- ウイング
- サイドハーフ
などです。
特にサイドバックは、守備だけでなく相手陣内までオーバーラップしてクロスを上げる役割があります。
そのためサイドバックを担当する選手は、クロスの技術を身につけておくと攻撃参加の幅が大きく広がります。
クロスは利き足側と逆足側で違う?
違いがあります。
例えば右利きの選手が右サイドからクロスを上げる場合、右足でそのまま蹴りやすくなります。
一方、右利きの選手が左サイドでプレーすると、中央へ切り返して右足でクロスを上げる形が増えます。
利き足とプレーするサイドによって、
- ボールの回転
- 蹴りやすい方向
- クロスを上げるタイミング
が変わります。
どちらが絶対に良いというものではありません。
クロスは小学生でも練習した方がいい?
もちろん練習したほうがいいです。
ただし小学生の場合、最初から高く遠いクロスだけを求める必要はありません。
まずは、
- 正確なパス
- インサイドキック
- ボールを止める
- 顔を上げて味方を見る
といった基本技術を優先しましょう。
低いクロスやグラウンダーなら、強いキック力がなくても練習できます。
サッカーのクロスについてよくある質問
サッカーのクロスとは?
サイドからゴール前へ送るパスのことです。
ウイングやサイドバックなどが蹴り、FWなどがシュートやヘディングで合わせます。
クロスとセンタリングの違いは?
基本的には同じ意味です。クロスが世界共通語で、センタリングは和製英語と言われています。センタリングでは海外で通じないこと、クロスのほうが短くてすむため、「クロス」に用語を統一するように動いていったといわれています。
現在は「クロス」という表現の方が一般的に使われています。
クロスは英語で何という?
英語でも「cross」です。
クロスはどこを狙う?
主にニア、中央、ファー、DFとGKの間などを狙います。
味方と相手の位置によって使い分けます。
クロスはどうやって蹴る?
インサイド、インフロント、インステップなどを使います。
正確性を重視するならインサイド、カーブをかけたいならインフロント、速いボールならインステップなど使い分けます。
クロスを上手く蹴るコツは?
蹴る前に顔を上げて味方と相手を確認し、自分が蹴りやすい位置へボールを置くことが重要です。
味方が現在いる位置ではなく、走り込む先へ送ることも意識しましょう。
クロスへの合わせ方は?
クロスを蹴る選手のタイミングに合わせてゴール前へ走り込みます。
ニア・中央・ファーに複数人が分かれると、クロスの選択肢が増えます。
アーリークロスとは?
サイドをゴールライン近くまで進む前に、早い段階でゴール前へ送るクロスです。
相手DFラインが整う前に攻撃できるメリットがあります。
クロスは高く上げないといけない?
必ずしも高く上げる必要はないです。低いクロス、グラウンダー、速いクロスなどもあります。
状況に合わせて高さを変えることが重要です。
まとめ|クロスは「蹴り方」だけでなく見る・合わせる技術が重要
サッカーのクロスとは、サイドからゴール前へ送るパスです。
主なポイントをまとめると、
- クロスとセンタリングは基本的に同じ意味
- ニア・ファーなど狙う場所がある
- 高いクロスだけでなく低いクロスもある
- アーリークロスは早いタイミングで入れる
- 蹴る前に味方と相手を見る
- 味方が走る先へボールを送る
- 出し手と受け手のタイミングが重要
- ニア・中央・ファーへ分かれてゴール前へ入る
- ドリブルやパス交換からのクロス練習が実戦的
といった点があります。
クロスが上手い選手は、ただキックが上手いわけではありません。
味方を見る、相手を見る、最適な場所を判断する、そして味方の動きに合わせて正確に蹴る。
この一連の判断ができるようになることで、クロスからゴールチャンスを作れるようになります。
